水難事故調査Water accident investigation

水難救助イメージ

水難総合研究所は水に関する事故調査を行っています。

なぜ、水の犠牲になったのか、何が起こったのか知りたい。

水の事故調査は専門的知識と科学的な知見が必要であり、個人が原因を究明することは困難です。また、消防や警察、海上保安庁は、水難救助を行うための機関であり、個人的な事故原因調査を取り扱うことを想定した、調査に関する専門的技術を有するものではありません。

ちなみに、水難事故調査における専門的技術とは、水難救助学、海洋土木工学、材料工学、自然災害科学、防災学、医学など幅の広い知見を学際的に集約し、結果を導き出す手法をいいます。

水難総研は、これら専門的技術を有する専門家集団であり、多角的な視点から「水の事故の真相」を導き出すためのネットワークを有しています。

一般的な水難事故、浴場などでの溺水事故、洪水など水災害による事故など、水が関係する事故に遭遇し、その事故の原因調査を希望される方、ご連絡をお待ちしています。

事故調査の流れ

  1. ご依頼者と調査員が面談を行い、仮契約の後、事故調査に着手します。
  2. 調査員が事故現場に向かい、現場調査に適した日程と必要な機材を決定します。
  3. 本契約を行います。
  4. 現場調査を実施します。可能な限り、依頼者の立ち合いを求めます。
  5. 現場調査で得たデータを解析し、事故原因検討を実施します。
  6. 原因確定後、 事故原因調査報告書を作成し、依頼者と面談の上で報告いたします。

事故現場の状況を正しく把握するために、現場水域の測量を行い、現場特有の水の流れや起伏、さらに防波堤や波止などの構造物や自然環境などを調査すると共に、被害者の行動との関係を精査します。その後、必要に応じて研究機関における実験、データ解析を行い、事故原因に迫ります。

水難・水災害に関する事故原因調査の内容

1. 一般的な水難事故の事故原因が知りたい

  • 海、河川、池、湖沼などでの水難事故
  • 学校プール、スイミングスクール、レジャープールなど水泳施設における事故
  • 水難事故として警察機関等が処理した事故

2. 家庭及び身近な生活環境の中で発生した水の事故の事故原因が知りたい

  • 用水路で発生した水難事故
  • 家庭内の池や水場での事故
  • 家庭の浴室、公衆浴場、高齢者施設の浴場、温泉等での事故

3. 水に関係する自然災害による事故の真相が知りたい

  • 豪雨災害による人的被害
  • 津波による人的被害
  • 洪水や津波に関するハザードマップの実態調査

想定される調査依頼例

①男子高校生が海岸で遊んでいたところ行方不明となり、翌日になって付近の海域で発見された。警察は遊泳中の溺死とした。母親は、「息子は中学の頃は水泳部員であった。だからこんなところで溺れるとは思えない。何があったのか知りたい。」と息子の死が受け入れられない日々が続いていており、父親が事故原因の究明を希望した。

②家族4名で近隣のレジャープールを訪れた。最新の空気式大型遊具が設置されている人気の施設であり、大勢の子どもが遊具で遊んでいた。小学2年生の長男は、施設から貸与されたライフジャケットを着用した後、さっそく遊具に中に入っていった。しばらくして、父親が長男の姿が見えないことに気づき、施設職員に申し出て付近を捜索したところ、遊具の下の水中で長男が発見された。後日、父親は施設の安全管理責任を問う訴えを起こし、事故原因の真相究明を希望した。

③家族4人が川遊びのために山間の渓流を訪れた。初めて訪れる場所であったが、駐車場が完備され、水難事故を注意喚起する看板もなかった。川幅は10mほどで砂浜のような場所もあり、水遊びに適した場所に思えた。父親が昼食の準備をしているときに、母親の悲鳴を聞いた。駆けつけると小学1年生の長女が対岸の岩に掴まっていた。幼稚園児の次女の姿は見えなかった。捜索にあたった警察官から、この河川では毎年のように死亡事故が発生していると聞いた。後日、父親は河川管理者に、「毎年のように死者が出ている河川であるにも関わらず、入川を規制せず、また、注意を喚起する看板を設置していない。」ことを理由に管理者責任を問う訴えを起こした。裁判の過程で原告弁護士は、事故原因を明確にし、その証拠資料が必要となった。

④遠足のために教員3名が児童50名を連れて、市内にある海水浴場を訪れた。風は吹いていたが波はなく、特に危険を感じることはなかった。児童数人が膝くらいまで水に入って遊んでいたが、馴染みの海水浴場であるために注意することはなかった。教員3名は適度な間隔を取って陸上から監視をしていたところ、友人の姿が見えないという児童からの通報があった。数時間後、救助機関が現場付近で児童の遺体を発見した。後日、遺族は教員の安全管理責任を問う訴えを起こした。被告弁護士は、教員が証言した「特に危険を感じることはなかった。」という事実を明らかにし、法廷での証言を希望している。

⑤20代男性が自宅付近海岸の禁漁区内で遺体となって発見された。葬儀の際、ご遺族は「あいつ、貝が好きだったな。きっとサザエを採るのに夢中になってテトラポットに中に入ってしまったのだろう。」という友人たちの会話を耳にした。しばらくして、現場付近に「水難事故死発生現場。密漁するな!」という看板が設置された。父親が看板設置者に問い合わせたところ、「お宅のご子息が密漁していて亡くなったことは、みんな知っていることだよ。」と言われた。「息子は密漁をするような人間ではない。遺体が流されて禁漁区で発見されただけだ。原因を明らかにして、息子の名誉を回復してやりたい。」と、父親は強く事故調査を希望した。

⑥1級河川の堤防沿いに住む夫婦が、洪水警報が発令されたため車(カローラ)で避難を開始したところ、道路が10㎝ほど冠水していた。しかし、その先が上り勾配になることを知っていたので、躊躇なく進行したところ車が流され始めた。運転していた夫は車から脱出できたが、助手席の妻は車内で溺死した。夫は自分の判断が間違っていたと悩み、鬱状態となっている。家族が、「ドライブレコーダーの映像を見ると、車が流された場所は水深が30㎝ほどであった。この程度で車が流されるとは思えない。どのようなことが起こったのか調べて欲しい。」と希望した。

故人の名誉回復、ご遺族の気持ちの整理を目的とした相談

水の事故で尊い命を奪われた場合、ご遺族には多くの疑問が残ります。

なぜ、そこに行ったのか。どこから水に入ったのか。いったい何をしていたのか。

そして、時には故人の名誉を棄損するような心無い推測話が流布され、ただでさえ辛い思いをしているご遺族の心までも傷つけていることがあります。

故人の名誉を守り、真の水難事故発生現場でご冥福をお祈りするためにも、水の事故を調査することは意義があることと考えています。

水難・水災害に関する民事係争相談

水の事故に関する民事係争においては、科学的な状況証拠を積み重ねていくことが勝訴のためには重要となります。

水難総研は、そのためのお手伝いを承ります。ご相談をお待ち申しあげます。

ただし、弁護士業務ではありませんのでご承知ください。

水難・水災害における保険処理に関する相談

 水難総研では、保険会社向けに水難事故や水災害における保険金支払処理に必要な事故調査を実施します。

 保険会社様から水難総研への依頼が想定される例

離婚調停中の夫婦が関係改善のために温泉旅行に行った。早朝に夫婦でスノーケリングを楽しんでいるときに夫が溺死し、後日、妻から保険金請求があった。

潮干狩りに出かけた男性が帰宅せず、翌日になって海上で遺体が発見された。男性は心筋梗塞の既往があった。警察は潮が満ちているのに気が付かず溺死したとして不慮の事故として取り扱った。後日、家族から災害割増特約付きの保険金請求があった。

交通事故の場合、全国各地の調査員が当該交通事故の調査を行い、その結果を保険金支払額算出の根拠としています。水難総研は保険会社様等からの希望による事故調査を行い、交通事故と同様な考え方で公平かつ適正な保険金算出の根拠となり得る調査報告書を作成いたします。